ラズパイで作る自宅WEBサーバ構築
第12回 運用準備 2019.12.01 / 2021.03.23更新
YouTube 動画でポイントを説明しています。上記画像をクリックすると再生できます。
前回までに、一通りWEBサーバーの設定は行ったので、今回は運用準備とシステムバックアップについてです。
SDカードは書込み回数上限に達すると使えなくなります。公開WEBサーバーではアクセスログなどのファイル更新であっという間に書き込み上限に達してしまいます。
カーネルのある基本領域は読込み専用で更新はないので、そのまま利用し、ブート後に制御が移される拡張領域をUSB接続の外付けハードディスクに複写して運用します。
システム設定更新時にはラズパイ本体SDカードの拡張領域に上書き複写することで二重化します。
詳しい説明は第2回動画 https://youtu.be/LOz4hQYqfag を参照してください。
WEBサーバー運用時のコンテンツはローカル接続しているパソコン側あるいはNAS上に保管することにします。
microSDカードの複製
運用中のmicroSDカード破損に備え、複製を作成しておきます。
Raspberry Pi のUSBスロットに、新しいmicroSDを装着したUSBアダプタを挿します。
$ sudo dd if=/dev/mmcblk0 of=/dev/sda bs=64K conv=noerror,sync status=progress
外付けハードディスクの設定
ubuntu を起動した後に、ポータブル・ハードディスクをUSBスロットに接続します。
今回は120GBのHDDを接続した場合で、説明します。
$ sudo fdisk -l
Disk /dev/mmcblk0: 29.7 GiB, 31914983424 bytes, 62333952 sectors
Units: sectors of 1 * 512 = 512 bytes
Sector size (logical/physical): 512 bytes / 512 bytes
I/O size (minimum/optimal): 512 bytes / 512 bytes
Disklabel type: dos
Disk identifier: 0x85baa6c1
Device Boot Start End Sectors Size Id Type
/dev/mmcblk0p1 * 2048 526335 524288 256M c W95 FAT32 (LBA)
/dev/mmcblk0p2 526336 62333918 61807583 29.5G 83 Linux
Disk /dev/sda: 111.8 GiB, 120034123776 bytes, 234441648 sectors
Units: sectors of 1 * 512 = 512 bytes
Sector size (logical/physical): 512 bytes / 512 bytes
I/O size (minimum/optimal): 512 bytes / 512 bytes
Disklabel type: dos
Disk identifier: 0x04bad2b4
Device Boot Start End Sectors Size Id Type
/dev/sda1 2048 234436544 234434497 111.8G 7 HPFS/NTFS/exFAT
パーティションの作成(GPT対応のパーティションを作成)
パーティションの管理方式には GPT(GUID Partition Table)を使用します。
$ sudo parted /dev/sda
GNU Parted 3.2
Using /dev/sda
Welcome to GNU Parted! Type 'help' to view a list of commands.
(parted) p
Model: KESU USB 3.0 (scsi)
Disk /dev/sda: 120GB
Sector size (logical/physical): 512B/512B
Partition Table: msdos ← パーティション管理方式MBR
Disk Flags:
Number Start End Size Type File system Flags
1 1049kB 120GB 120GB primary
※パーティションテーブルが未設定の場合、エラーメッセージが表示されます。
Error: /dev/xvdc: unrecognised disk label
次の、mklabel を実行することにより解決します。
(parted) mklabel gpt ←GPTに変更
Warning: The existing disk label on /dev/sda will be destroyed and all data on this disk will be lost. Do
you want to continue?
Yes/No? y
(parted) p
Model: USB 3.0 (scsi)
Disk /dev/sda: 120GB
Sector size (logical/physical): 512B/512B
Partition Table: gpt ← パーティション管理方式GPT
Disk Flags:
Number Start End Size File system Name Flags
(parted) mkpart "Linux filesystem" 0% 100%
(parted) p
Model: USB 3.0 (scsi)
Disk /dev/sda: 120GB
Sector size (logical/physical): 512B/512B
Partition Table: gpt
Disk Flags:
Number Start End Size File system Name Flags
1 1049kB 120GB 120GB Linux filesystem
(parted) quit
Information: You may need to update /etc/fstab.
パーティションを確認します
$ sudo fdisk -l
Disk /dev/mmcblk0: 29.7 GiB, 31914983424 bytes, 62333952 sectors
Units: sectors of 1 * 512 = 512 bytes
Sector size (logical/physical): 512 bytes / 512 bytes
I/O size (minimum/optimal): 512 bytes / 512 bytes
Disklabel type: dos
Disk identifier: 0x85baa6c1
Device Boot Start End Sectors Size Id Type
/dev/mmcblk0p1 * 2048 526335 524288 256M c W95 FAT32 (LBA)
/dev/mmcblk0p2 526336 62333918 61807583 29.5G 83 Linux
Disk /dev/sda: 111.8 GiB, 120034123776 bytes, 234441648 sectors
Units: sectors of 1 * 512 = 512 bytes
Sector size (logical/physical): 512 bytes / 512 bytes
I/O size (minimum/optimal): 512 bytes / 512 bytes
Disklabel type: gpt
Disk identifier: 9950E274-D75A-47D0-9456
Device Start End Sectors Size Type
/dev/sda1 2048 234440703 234438656 111.8G Linux filesystem
パーティションのフォーマット
$ sudo mkfs.ext4 /dev/sda1
mke2fs 1.44.1 (24-Mar-2018)
/dev/sda1 contains a exfat file system
Proceed anyway? (y,N) y
Creating filesystem with 29304832 4k blocks and 7331840 inodes
Filesystem UUID: 3d962f89-f4cb-4160-b70e
Superblock backups stored on blocks:
32768, 98304, 163840, 229376, 294912, 819200, 884736, 1605632, 2654208,
4096000, 7962624, 11239424, 20480000, 23887872
Allocating group tables: done
Writing inode tables: done
Creating journal (131072 blocks): done
Writing superblocks and filesystem accounting information: done
cmdline.txt と fstabの修正
UUID,PARTUUIDを調べます
$ sudo blkid (あるいは $ ls -l /dev/disk/by-partuuid/)
/dev/mmcblk0p1: LABEL="system-boot" UUID="4245-236F" TYPE="vfat" PARTUUID="85baa6c1-01"
/dev/mmcblk0p2: LABEL="writable" UUID="cb9fa157-6a4b-425b-aa26" TYPE="ext4" PARTUUID="85baa6c1-02"
/dev/sda1: UUID="3d962f89-f4cb-4160-b70e" TYPE="ext4" PARTLABEL="Linux filesystem" PARTUUID="0d27d6de-7320-4c6c-80b1"
/dev/mmcblk0: PTUUID="85baa6c1" PTTYPE="dos"
ラベルを確認します
$ sudo e2label /dev/sda1
←ラベルが付いてないので、空行が表示されます
ラベルを付加します
$ sudo e2label /dev/sda1 writable-hdd
$ sudo e2label /dev/sda1
writable-hdd
拡張領域をラズパイ本体のSDカードからUSB接続のHDDに切り替えます。
$ sudo vi /boot/firmware/cmdline.txt
root=/dev/mmcblk0p2
↓変更
root=/dev/sda1
基本領域は本体のSDカードのままで、拡張領域のラベルをHDD側に変更します。
$ sudo vi /etc/fstab
LABEL=writable / ext4 defaults 0 0
LABEL=system-boot /boot/firmware vfat defaults 0 1
↓変更
LABEL=writable-hdd / ext4 defaults 0 0
LABEL=system-boot /boot/firmware vfat defaults 0 1
システムの複製
ラズパイ本体のSDカードから 拡張領域をHDDに複製します。
$ sudo mkdir -p /mnt/target
$ sudo mount /dev/sda1 /mnt/target/
$ sudo rsync -aAX --delete --exclude={"/boot/*","/dev/*","/proc/*","/sys/*","/tmp/*","/run/*",
"/mnt/*","/media/*","/lost+found"} / /mnt/target
--exclude オプションは指定したパターンにマッチするファイルを除外します。
/dev, /proc, /sys, /tmp, /run は起動時に作成されるものなので除外しています。
/lost+found はファイルシステムが作成します。
除外パターンをクォートで囲っているのはシェルによって展開されないようにするためで、特に SSH を使ってバックアップする場合は必須です。
除外パターンの末尾に付いている * はディレクトリが存在しなかった場合に確実に作成するよう指示します
マウントを解除して、システムを再起動します。
$ sudo umount /mnt/target
$ sudo reboot
公開サーバー運用方針
ここでは、運用方法の1例を紹介します。
システム設定を更新した際にはラズパイ本体に挿してあるSDカード内の拡張領域へ同期複写を行います。
crontab による毎日のデータベース・バックアップファイルは開発環境側パソコンあるいはNASにバックアップします。
開発環境側でWEBコンテンツを制作してサーバーにアップしている場合は、コンテンツのバックアップは必要ないでしょう。
$ sudo mkdir -p /mnt/target
$ sudo mount /dev/mmcblk0p2 /mnt/target/
$ sudo rsync -aAX --delete --exclude={"/boot","/dev/*","/proc/*","/sys/*","/tmp/*","/run/*","/mnt/*",
"/media/*","/lost+found"} / /mnt/target
$ sudo umount /mnt/target
待機サーバの準備
WEBサーバの故障に備え、もう1台サーバを準備しておきます。
WEBサーバが反応しなくなった場合、待機サーバのデータを更新して運用サーバとして利用します。
サーバーの複製に関しては、
第18回 システム移行 を参照してください。
今回のシステムでは無停電電源装置を使用していますので、瞬間停電によりストレージへの書込み中に電源断になることはありません。
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