HOME | Raspberry Pi | ビジネス書籍紹介 | 2024-04-26 (Fri) Today's Access : 697 Total : 920357. Since 10 Sep. 2019

波形処理 第4回コード演奏
2021.01.16

YouTube でも紹介しています。画像をクリックすると再生できます。

波形処理第4回では、深層学習第3回コード進行解析 で得られたコード進行を例として、音を合成する仕組みを考察してみました。
まだ、試行錯誤の状況なので、未完成な内容です。

今回使用するコード進行パターンです。
B→E→A→EonG#→F#m
詳細は後回しにして、このコード進行を分散和音、続けてアルペジオにして鳴らしてみます。
※1オクターブの範囲内での処理を行っているので、正しい分散和音にはなっていません。

■サイン波をベースに合成したコード演奏


ここで使用している波形は単純なサイン波です。


サイン波を音源とする場合、その周波数の値を変更すれば簡単に別の音を作成することができます。しかし、いかにも電子音といった感じです。

■ピアノ・サンプリング音源ドの音をベースに合成したコード演奏

こちらはネットからダウンロードできるフリーのピアノ音源を用いた演奏です。
Ref.魔王魂 フリー効果音素材
公開されている音源はドの音1つだけなので、これを利用して別の音を作成して演奏させてみました。


ピアノ音源のドの音の波形です。


それでは解説にはいります。

■開発環境

パソコンから、TeraTeamでラズパイにSSH接続、python によるコーディングを行います。 DACとの接続設定は、 I2S通信によるハイレゾ音源再生 を参照してください。
以前はOSに、Python3.5系を実装している Raspbian Stretch を使用していましたが、3.5系はすでにサポート切れとなっています。
Python 3.7, 3.8, 3.9系のソースコードをビルドしてみましたが安定しません。 そこで今回は無駄を省くため、Python3.7系の Raspberry Pi OSを使用します。
OSのインストール・環境設定に関しては、深層学習 第1回環境整備 を参考にしてください。

ここでは手っ取り早く、Raspberry Pi 3 model B に実装したものを、SD Card Copier を使って複製、Raspberry Pi Zero W に挿して、起動後にIPアドレスを書き換えています。

深層学習第1回環境整備において、インストールされている各種パッケージのバージョンは下記の通りです。
$ pip3 list
Package              Version
-------------------- -----------
Keras                2.4.3
matplotlib           3.3.2
numpy                1.16.2
pip                  18.1
scikit-learn         0.23.2
scipy                1.5.4
tensorflow           1.14.0
$ python3 --version
Python 3.7.3

さらに、pyaudio と pychord をインストールします。

$ sudo pip3 install pyaudio
Successfully installed pyaudio-0.2.11

$ sudo pip3 install pychord
Successfully installed pychord-0.5.1

Pythonのサンプルコードはあとで説明しますが、実行しようとするとエラーが発生します。
$ python3 sample.py
ImportError: libportaudio.so.2: cannot open shared object file: No such file or directory

python-pyaudioの有無を確認します
$ apt list --installed | grep python-pyaudio
存在する場合は削除します
$ sudo apt-get purge --remove python-pyaudio

他のパッケージも確認します
$ apt list --installed | grep portaudio19-dev
$ apt list --installed | grep python-all-dev
python-all-dev/stable,now 2.7.16-1 armhf [インストール済み、自動]

portaudio をインストールします
$ sudo apt install portaudio19-dev

さらに、libatlas-base-dev も追加します
$ python3 sample.py
ImportError: libf77blas.so.3: cannot open shared object file: No such file or directory
$ sudo apt install libatlas-base-dev

■基準となる音の作成

サイン波であれば、言うまでもなく簡単です。1秒間のド(C4)の音は下記の通りです。
import numpy as np

C4 = 261.626
samplingRate = 44100
range = 2 * np.pi * C4
slice = range / samplingRate
radian = np.arange(0, range, slice)
wavC4 = np.sin(radian)
周波数を変更するだけで、新たに別の音が作れます。

次にピアノ・サンプリング音源の場合です。
from scipy.io import wavfile

samplingRate = 44100
rate, data = wavfile.read(filename)
wavC4 = data[0:samplingRate]
ここでは、サンプリング音源ドのファイルを読み込んで、先頭の1秒間を抜き出しています。
本来であれば、波形解析を行って、波を重ね合わせ、類似の波形を作りあげたいところですが、サンプリング音源の波形をフーリエ変換により周波数解析してみると以下のようになります。
黒線グラフからわかるように、ドの音の倍音付近にも小さなピークが存在しています。 赤線のグラフは、横軸のレンジを絞って表示したものです。強度のピークが260Hz付近を指していますが、このフーリエ変換結果からは、ピアノの音色を決定付ける要素を検出することはできません。

この解析には、HK29さんのpython ソースコードを用いています。多少の変更で簡単に動きます。
Ref.Python 高速フーリエ変換(FFT)による周波数解析「SciPy」

ピアノ音源の合成は簡単にはできそうにないので、かなり手抜きの処理を考えました。 ソースコードは試作中なので、かなり雑です。
  stack = []
  shape = []
  breakKey = 0
  cnt = 0
  rate = 1.122
  tmpWav = wavC4.tolist()
  for key, amplitude in enumerate(tmpWav):
    matchKey = int(key/rate+0.5)
    if breakKey != matchKey:
      pos = len(stack)//2
      #print("pos=",pos)
      shape.append(stack[pos])
      cnt += 1
      breakKey = matchKey
      stack = [amplitude]
    else:
      stack.append(amplitude)
この処理では波形を縮めています。つまり、配列データを間引いています。 レの音の周波数は、ドの音の1.122倍ですので、1/1.122に縮小します。
そうすると、再生時間が1秒未満のデータになってしまうので、この縮めたデータを再活用して、不足分をデータ末尾に追加します。
  freqWav = shape
  rest = samplingRate - cnt
  while rest > 0:
    if rest > cnt:
      range = cnt
    else:
      range = rest
    freqWav.extend(shape[0:range])
    rest -= cnt
  wavD4 = np.array(freqWav).astype(np.int16)
この要領で1オクターブ分の音を作成します。さらに1オクターブ上の音も同様に生成可能です。
また、1オクターブ下げる場合は、音を引き延ばすことになります。 ある音の1オクターブ下を作る場合、配列データに1個ずつ隙間ができるので、この隙間を隔てた両側の振幅の平均値で埋め合わせます。

■分散和音を作る

Cメジャーであれば、構成音はド・ミ・ソなので、この3つの音を足し合わせます。numpy配列であれば、簡単に操作できます。 この際、振幅幅が大きくなりますので、足し合わせた構成音の数で振幅を割っています。
  broken = wavC4/3
  broken += wavE4/3
  broken += wavG4/3
  Cmajor = broken.astype(np.int16)
■コードを鳴らす
import pyaudio

p = pyaudio.PyAudio()
stream = p.open(format=pyaudio.paInt16,
          channels=1,
          rate=samplingRate,
          output=True,
          output_device_index=0)

stream.write(Cmajor)

stream.stop_stream()
stream.close()
p.terminate()
strem.write() 部分をコード進行を読み込んでループさせるように変更することで、演奏させることができます。

■補足

先ほどのフーリエ変換で得られた倍音に現れるピークをその強度とともに足し合わせてみます。
    C4 = 261.626
    range = 2 * np.pi * C4
    slice = range / samplingRate

    # Oscillator-1: サイン波
    radian = np.arange(0, range, slice)
    wav = np.sin(radian)

    # Oscillator-2: サイン波
    intensity = 0.45 # 強度
    overtone  = 2.0  # 倍音
    wav += np.sin(radian * overtone) * intensity

    # Oscillator-3: サイン波
    intensity = 0.1 # 強度
    overtone  = 3.0 # 倍音
    wav += np.sin(radian * overtone) * intensity

    # Oscillator-4: サイン波
    intensity = 0.25 # 強度
    overtone  = 4.0  # 倍音
    wav += np.sin(radian * overtone) * intensity

    # Oscillator-5: サイン波
    intensity = 0.12 # 強度
    overtone  = 5.0  # 倍音
    wav += np.sin(radian * overtone) * intensity

    max = np.max(wav)
    wav /= max

    wavC4 = (wav * float(2**14)).astype(np.int16)
重ね合わされた波形は下図のようになります。

サンプリング音源とはまだまだかけ離れた波形ですが、1つのサイン波よりは穏やかな音質になっています。

これより先の詳しい内容については、FM音源YMF825+micro:bit編 で若干触れています。
単純なサイン波の合成だけではなく、さまざまな波形

アルゴリズムとオペレータが深く絡んできます。


いつもでしたら、使用した全ソースコードを掲載するのですが、もうちょっと考察が進んでから公開する予定です。

■参考文献
Python で音楽を作って楽しもう
yuma-m/pychord
Pythonでwavファイルを読み込む
Pythonで音声解析 – 音声データの周波数特性を調べる方法
Python ねこふんじゃったを演奏する「PyAudio」

 Raspberry Pi(ラズベリー パイ)は、ARMプロセッサを搭載したシングルボードコンピュータ。イギリスのラズベリーパイ財団によって開発されている。
2020.01.05 第1回 abcjs 楽譜作成・演奏スクリプト
2020.01.09 I2S通信によるハイレゾ音源再生
2020.01.18 MIDI再生:FM音源YMF825+Arduino編
2020.01.24 FM音源YMF825+micro:bit編
2020.02.13 Piano Hat & Rosegarden
2020.03.18 テキスト読み上げ gTTS
2020.05.19 テキスト読み上げ AquesTalk pico LSI
2020.06.22 波形処理 第1回 音の波と三角関数
2020.07.22 波形処理 第2回 平均律と純正律
2020.08.26 波形処理 第3回 黒鍵と白鍵
2020.11.21 深層学習 第1回環境整備
2020.12.19 深層学習 第2回マルコフ連鎖・自動歌詞生成
2021.01.02 深層学習 第3回コード進行解析
2021.01.16 波形処理 第4回 コード演奏
2021.08.07 MIDI制御/Adafruit Music Maker
2021.08.23 MIDIフォーマット解析
2021.08.24 オーディオアンプ・スピーカー
2021.10.10 音声ファイルの切貼り
2022.09.16 USB-MIDI
2023.01.16 MAX98537 & PCM5102
2023.03.15 音源サンプリング
2023.06.16 ヤマハ音源IC YMZ294
2024.01.07 内蔵DACによるWAV再生
2024.03.23 Piano Hat for MIDI


Arduinoで学ぶ組込みシステム入門(第2版)
●Arduinoを使って組込みシステム開発を理解する
・ハードウェアやソフトウェアなどの基礎知識/ ・設計から実装までを系統的に説明するモデルベース開発/ ・Arduinoを用いた実際の開発例

最新 使える! MATLAB 第3版
◆◆すぐに「使える!」 全ページフルカラー!◆◆
・MATLAB R2022bに対応し、解説もより詳しく!/ ・コマンド・スクリプトの例が豊富で、動かして学べる!/ ・超基本から解説。これから使いはじめる人にぴったり!/ ・全編フルカラー、スクリーンショットも豊富!

Amazon Web Services基礎からのネットワーク&サーバー構築改訂4版
1.システム構築をインフラから始めるには/ 2.ネットワークを構築する/ 3.サーバーを構築する/ 4.Webサーバーソフトをインストールする/ 5.HTTPの動きを確認する/ 6.プライベートサブネットを構築する/ 7.NATを構築する/ 8.DBを用いたブログシステムの構築/ 9.TCP/IPによる通信の仕組みを理解する

C言語は第二の母国語: 独学学生時代から企業内IT職人時代に培った、独立のための技術とノウハウ 平田豊著
学生時代から独学でプログラミングをはじめ、企業内でデバイスドライバを開発し、そして独立後もたくさんのアプリケーション開発や技術書制作に携わってきた著者。その筆者が大事に使い続ける「C言語」の“昔と今”について、気づいたことや役立つ知識、使ってきたツールなどについて、これまで記してきたことを整理してまとめました。 本書では、現役プログラマーだけでなく、これからプログラミングを学ぶ学生などにも有益な情報やノウハウを、筆者の経験を元に紹介しています。

1冊ですべて身につくJavaScript入門講座
・最初の一歩が踏み出せる! 初心者に寄り添うやさしい解説 ・最新の技術が身につく! 今のJavaScriptの書き方・使い方 ・絶対に知っておきたい! アニメーションとイベントの知識 ・プログラミングの基本から実装方法まですべて学べる

図解! Git & GitHubのツボとコツがゼッタイにわかる本
ソフトウェア開発では欠かすことのできないGit、GitHub。 これからGit、GitHubを使いたいという入門者の方でも、実際に手を動かしながら使い方を学べます。

C自作の鉄則!2023 (日経BPパソコンベストムック)
メーカー製のパソコンはスペックが中途半端で、自分が本当に欲しい機種がない――。そう思っている人には、ぜひ自作パソコンをお薦めします。自作パソコンのパーツは進化が速く、しかも驚くほど種類が豊富。価格も性能も、幅広く用意されているため、満足度100%の“自分だけの1台”を手に入れることができます。

Interface 2023年6月号
特集:第1部 フィルタ設計 基礎の基礎/ 第2部 係数アプリや波形観測アプリで合点!FIR&IIRフィルタ作り/ 第3部 配布プリント基板で体験!マイコンで動くフィルタ作り

日経Linux 2023年5月号
【特集 1】 AI時代の最強フリーソフト ~ 25のやりたいを実現! 【特集 2】 AWS、Azureのうまみを無料で体感!面倒なことはクラウドに任せよう 【特集 3】 新しいRaspberry Pi Cameraで遊んでみよう 【特集 4】 Linuxで旧型PCを復活! 1kg切るモバイルPCを「ChromeOS Flex」でChromebook化

ラズパイマガジン2022年秋号
特集:5大人気ボード 電子工作超入門
「半導体不足で在庫が不足し、電子工作のボードがなかなか買えない…」。そんな今にふさわしい特集を企画しました。5種の人気ボードにすべて対応した電子工作の入門特集です。「GPIO」や「I2C」を使った電子パーツの制御方法は、どのボードでも同じです。手に入れられたボードを使って、今こそ電子工作を始めましょう。

地方で稼ぐ! ITエンジニアのすすめ
学歴、理系の知識、専門スキル……全部なくてもITエンジニアになれる! 地方でも高収入でやりがいをもって働ける!ITエンジニアの魅力を一挙大公開

Raspberry Piのはじめ方2022
本書は、ラズパイやPicoの買い方やインストール、初期設定といった基本から、サーバー、電子工作、IoT、AIといったラズパイならではの活用方法まで、1冊でお届けします。 ラズパイをこれから始める方向けに、全36ページの入門マンガ「女子高生とラズベリーパイ」も巻末に掲載。これを読むだけでラズパイがどんなものなのか、すぐに分かって触れるようになります。

ハッカーの学校 IoTハッキングの教科書
生活にとけこみ、家電機器を便利にするIoT技術。 Webカメラなど、便利の裏側に潜むセキュリティの危険性をハッキングで検証。 専門家がパケットキャプチャからハードウェアハッキングまで、その攻撃と防御を徹底解説。 本書は2018年7月に刊行された「ハッカーの学校IoTハッキングの教科書」に一部修正を加えた第2版です。

攻撃手法を学んで防御せよ! 押さえておくべきIoTハッキング
本書は、経済産業省から2021年4月にリリースされた、IoTセキュリティを対象とした『機器のサイバーセキュリティ確保のためのセキュリティ検証の手引き』の『別冊2 機器メーカに向けた脅威分析及びセキュリティ検証の解説書』をもとに、IoT機器の開発者や品質保証の担当者が、攻撃者の視点に立ってセキュリティ検証を実践するための手法を、事例とともに詳細に解説しました。

ポチらせる文章術
販売サイト・ネット広告・メルマガ・ブログ・ホームページ・SNS… 全WEB媒体で効果バツグン! カリスマコピーライターが教える「見てもらう」「買ってもらう」「共感してもらう」すべてに効くネット文章術

プログラマーは世界をどう見ているのか 西村博之著
イーロン・マスク(テスラ)、ジェフ・べゾス(Amazon)、ラリー・ペイジ(Google)…etc. 世界のトップはなぜプログラマーなのか?

ニーア オートマタ PLAY ARTS改 <ヨルハ 二号 B型 DX版> PVC製 塗装済み可動フィギュア
「NieR:Automata」より、ヨルハ二号B型こと2BがPLAY ARTS改に新たに登場! 高級感の感じられるコスチュームや髪の質感、洗練されたボディバランス、細かなデティールに至るまでこだわり抜かれた逸品。 DX版には通常版のラインナップに加え2Bの随行支援ユニット ポッド042などをはじめ“純白の美しい太刀"白の約定やエフェクトパーツ、自爆モードを再現できる換装用ボディパーツ、シーンに合わせて変えられる顔パーツ2種も付属する豪華な仕様に。 作中のあらゆるシーンを再現することが可能なファン必見の一品となっている。

Newtonライト2.0 ベイズ統計
ベイズ統計は,結果から原因を推定する統計学です。AIや医療などの幅広い分野で応用されています。その基礎となるのは18世紀に考えだされた「ベイズの定理」です。 この本では,ベイズ統計学のきほんをやさしく紹介していきます。

白光(HAKKO) ダイヤル式温度制御はんだ吸取器 ハンディタイプ FR301-81


無水エタノールP 500mlx2個パック(掃除)


ケイバ(KEIBA) マイクロニッパー MN-A04


サンハヤト SAD-101 ニューブレッドボード


白光(HAKKO) HEXSOL 巻はんだ 精密プリント基板用 150g FS402-02


[Amazon限定ブランド]【指定第2類医薬品】PHARMA CHOICE 解熱鎮痛薬 解熱鎮痛錠IP 100錠


Copyright © 2011-2024 Sarako Tsukiyono All rights reserved®.