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 ttymidi + SAM2695
2025.01.10

YouTube 動画でポイントを説明しています。画像をクリックすると再生できます。

今回は、Raspberry Pi 上のMIDIファイルをttymidiによりUSBシリアル出力し、ESP32を介して DREAM社製SAM2695搭載の音源モジュールM5Stack UNIT SYNTHにより再生します。

●ttymidi - MIDI for your serial devices

ttymidiは、外部シリアルデバイスがALSA MIDIアプリケーションとやりとりできるようにするGPLライセンスのプログラムです。 ttymidiは、ESP32やArduinoが追加のハードウェアを使用することなく、MIDIアプリケーションと通信できるようにします。
ttymidi - MIDI for your serial devices

●TTYMIDI on the Raspberry Pi
Raspberry PiにTTYMIDIをインストールします。
TTYMIDI on the Raspberry Pi

まずは、ALSAの開発環境をインストールします。
$ sudo apt-get install libasound2-dev

ttymidi プログラムをダウンロード、解凍します。
$ wget http://www.varal.org/ttymidi/ttymidi.tar.gz
$ tar -zxvf ttymidi.tar.gz
$ cd ttymidi/

Makefile 記載の gcc でスレッド用のライブラリを指定します。
$ vi Makefile
gcc src/ttymidi.c -o ttymidi -lasound
  ↓変更
gcc src/ttymidi.c -o ttymidi -lasound -lpthread

$ make
gcc src/ttymidi.c -o ttymidi -lasound -lpthread
src/ttymidi.c:477:1: warning: return type defaults to ‘int’ [-Wimplicit-int]
main(int argc, char** argv)

$ sudo make install
install -m 0755 ttymidi /usr/local/bin

●出力ポートの確認

今回使用するM5Stack用MIDIシンセサイザユニットの信号線は3.3Vなので、マイコンボードにはESP32を用います。

Adafruit QT Py ESP32-S2 WiFi Dev Board with STEMMA QT
・ESP32-S2 240MHz
・4 MB Flash & 2 MB PSRAM
・2.4 GHz Wi-Fi (SoC)
・Two I2C ports
・Hardware UART
・Hardware SPI
・Hardware I2S on any pins
・3.3V regulator with 600mA peak output
Adafruit QT Py ESP32-S2

Adafruit Qt Py ESP32-S2をRaspberry PiにUSB接続します

接続ポートを確認します
$ platformio device list
/dev/ttyACM0
------------
Hardware ID: USB VID:PID=239A:8111 SER=12:34:56:78:90:12 LOCATION=1-1:1.0
Description: QT Py ESP32-S2 - TinyUSB CDC

/dev/ttyAMA0
------------
Hardware ID: 3f201000.serial
Description: ttyAMA0
※Arduino UNOを接続した際には、ttyACM0 ではなく、 ttyUSB0 が表示されます 
$ platformio device list
/dev/ttyUSB0
------------
Hardware ID: USB VID:PID=1A86:7523 LOCATION=1-1.4
Description: USB2.0-Serial
※シリアルポート/dev/ttyAMA0が表示されない場合
$ sudo vi /boot/config.txt
シリアル通信を有効にする
enable_uart=1
を追加する。
Bluetoothを無効にして、シリアルコンソール(ttyAMA0)を有効にするには
dtoverlay=pi3-miniuart-bt

現在のUSBポートのボーレートをみてみます。
$ stty < /dev/ttyACM0
speed 9600 baud; line = 0;
-brkint -imaxbel
現在のMIDIポートの入出力を確認します。
$ aconnect -iol
client 0: 'System' [type=カーネル]
    0 'Timer           '
    1 'Announce        '
client 14: 'Midi Through' [type=カーネル]
    0 'Midi Through Port-0'
バックグランドで、ttymidi を動かします。
$ ttymidi -s /dev/ttyACM0 -b 115200 &

再度、MIDIポートの入出力を確認してみます。
$ aconnect -iol
client 0: 'System' [type=カーネル]
    0 'Timer           '
    1 'Announce        '
client 14: 'Midi Through' [type=カーネル]
    0 'Midi Through Port-0'
client 128: 'ttymidi' [type=ユーザ,pid=1425]
    0 'MIDI out        '
    1 'MIDI in         '
ALSAクライアントにttymidiが追加され、MIDI out, in ポートが追加されています。

ボーレートも確認してみます。
$ stty < /dev/ttyACM0
speed 115200 baud; line = 0;
intr = ; quit = ; erase = ; kill = ; eof = ; start = ;
stop = ; susp = ; rprnt = ; werase = ; lnext = ; discard = ;
min = 1; time = 0;
-brkint -icrnl -imaxbel
-opost -onlcr
-isig -icanon -iexten -echo -echoe -echok -echoctl -echoke
9600から115200bpsに変更されています

●MIDI出力コードの確認
Raspberry PiのttyACM0からのMIDI出力コードを受信して、ttyAMA0に16進表示してみます
void setup()
{
	Serial.begin(115200);
	Serial1.begin(31250);
}

void loop()
{
	if (Serial.available()) {
		Serial1.print(Serial.read(),HEX);
	}
}
上記コードは、Adafruit Qt Py ESP32-S2用です。 Raspberry Pi にUSBで接続してMIDIコードを受信、ハードウェアシリアルTX(3.3V)を Raspberry Pi の RX に出力しています。 Arduino UNOなどを使用する場合には、SoftwareSerialを利用して出力、3.3Vへのレベル変換を行ってください。

マイコンのコードを書き換える際には、ttymidi がシリアルポートを占有しているので、 バックグランドプロセスをKILLしてから行います

再度、ttymidi を起動します。
$ ttymidi -s /dev/ttyACM0 -b 115200 &

ターミナルをもう1つ立ち上げて、ttyAMA0 への出力を表示できるようにします
$ pio device monitor -p /dev/ttyAMA0 -b 31250

クライアントを指定して、MIDIファイルを再生します
$ aplaymidi -p 128:1 Aria.mid

そうすると、ttyAMA0側に下記のようなコードが表示されます
B000B0200C030B075FB0A4B0B2B904E4DB100B1200C1300B175FB1A22B1B
41914A3BB200B2200C230B275FB2A7C92452FB300B3200C330B375AB3A5E
B3B40933246B400B4200C460B4732B4A46943245943E45B0B41B2B3FB2B3
D944245B0B42B1B42B3B41944545B2B3E944A44B0B43B1B43B3B42944E44
B2B3F945144B0B44B1B44B3B43B2B40B0B45B1B4593320933E3C94320943
E44B3B44B2B41B0B46B1B46B3B45B2B42B0B47B1B47B3B46B2B43B0B48B1
B48B3B47B0B49B2B44B1B49933E0933D48943E0943E0943D44B3B48B0B4A
B2B4594420B0B4BB1B4AB3B4994450B2B46944A0B0B4CB1B4BB3B4AB2B47
........

これではよくわからないので、ノートオン、ノートオフ、プログラムチェンジなど 一般的なMIDIコードを抽出してみました。
c0 30
90 4e 4d
c1 30
91 4a 3b
c2 30
92 45 2f
c3 30
93 32 46
c4 06
94 32 45
94 3e 45
94 42 45
94 45 45
94 4a 44
94 4e 44
94 51 44
93 32 00
93 3e 3c
94 32 00
94 3e 44
.........
このように抽出されたMIDIコードをMIDI音源モジュールに送信します。 MIDI音源にスピーカーを繋ぐのが面倒なので、スピーカー一体型のM5STACK UNIT SYNTHを使ってみました。
●M5Stack用MIDIシンセサイザユニット(SAM2695)


・DREAM社SAM2695搭載
 シリアルポート通信
 MIDI標準プロトコル、GM規格準拠
 マルチチャンネル音源出力に対応
 4つのEQ、エコー、その他パラメータ調整可能
・D級アンプ搭載(NS4150B)
・8Ω1Wスピーカー内蔵
・コネクタ:GROVEコネクタ
 ピン配置:NC(無接続)/IN(MIDI信号入力)/5V/GND
・製品寸法:48 x 24 x 16 mm
・GROVEケーブル(20cm)

製品にはGROVEケーブルが同梱されていますが、これは使わずに Grove-Stemma QT/Qwiic変換ケーブルも用いてQt Py ESP32-S2とシリアル通信を行います。


 UNIT SYNTH  -  QT Py ESP32-S2  -  Raspberry Pi 
NC              
IN   -  TX        
5V   -  3V        
GND   -  GND        
      USB   -  /dev/ttyACM0 
M5StackのGrove規格ではVINは5V、信号は3.3Vですが、ESP32からの3.3V供給でも動作します。


写真にあるSDカードモジュールと右下に若干写っているマルチポートアダプタは関係ありません


こちらは全体像です。左は Raspberry Pi 3 Model A です

Adafruit Qt Py ESP32-S2用ソースコード
#define BAUDRATE      115200
#define BAUDRATE_MIDI  31250

void midiout_write(uint8_t value) {
	return;
}

// 音を鳴らす
void noteOn(uint8_t channel, uint8_t note, uint8_t velocity)
{
	Serial1.write(channel);
	Serial1.write(note);
	Serial1.write(velocity);
//Serial1.printf("%02x %02x %02x\n",channel,note,velocity);
}

// 音を止める
void noteOff(uint8_t channel, uint8_t note, uint8_t velocity)
{
	Serial1.write(channel);
	Serial1.write(note);
	Serial1.write(velocity);
//Serial1.printf("%02x %02x %02x\n",channel,note,velocity);
}

// 演奏に使用する音色(楽器)を指定する
void setInstrument(uint8_t control, uint8_t instrument)
{
	Serial1.write(control);
	Serial1.write(instrument);
//Serial1.printf("%02x %02x\n",control,instrument);
}

void receiveEvent()
{
	static unsigned char bufMidi[4];
	static unsigned char uch;
	static int pos = 0;
	static int cmdlen;

	if (Serial.available()) {
		bufMidi[pos] = Serial.read();
		if (pos==0) {
			uch = bufMidi[pos] & 0xF0;
			switch(uch) {
				case 0x90: // Note-on
				case 0x80: // Note-off
				case 0xB0: // Continuous controller
				case 0xE0: // Pitch bend
					cmdlen = 3;
					break;
				case 0xA0: // After-touch
				case 0xC0: // Program change
					cmdlen = 2;
					break;
				case 0xD0: // Channel Pressure
					cmdlen = 0;
					break;
				case 0xF0: // System Realtime message (non-musical commands)
					midiout_write(bufMidi[0]);
					cmdlen = 0;
					break;
				case 0xFF:
					cmdlen = 0;
					break;
				default:
					cmdlen = 0;
					break;
			}
			if (cmdlen>0) pos++;
		} else {
			pos++;
			if (pos==cmdlen) {
				switch(uch) {
					case 0x90:
						noteOn(bufMidi[0], bufMidi[1], bufMidi[2]);
						break;
					case 0x80:
						noteOff(bufMidi[0], bufMidi[1], bufMidi[2]);
						break;
					case 0xB0: // Continuous controller
					case 0xE0: // Pitch bend
						midiout_write(bufMidi[0]);
						midiout_write(bufMidi[1]);
						midiout_write(bufMidi[2]);
						break;
					case 0xA0: // After-touch
					case 0xC0: // Program change
						setInstrument(bufMidi[0], bufMidi[1]);
						break;
				}
				pos = 0;
			} else {
				if (pos==4) pos=0;
			}
		}
	}
}

void setup()
{
	Serial.begin(BAUDRATE);
	Serial1.begin(BAUDRATE_MIDI);
}

void loop()
{
	receiveEvent();
}

$ ttymidi -s /dev/ttyACM0 -b 115200 &
$ aplaymidi -p 128:1 YoruNiKakeru.mid
UNIT SYNTHから音が流れれば成功です。

同じSAM2695を使った製品にMIDI野郎キットがあります。



UART接続して、Type-Cコネクタから電源を供給して使います。
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